お酒

 極上日本酒の会

立派なお値段の日本酒という何が思い浮かびますか? 黒龍 石田屋 仁左衛門 磯自慢純米大吟醸35 梵 菊姫菊理姫 獺祭その先へ 日本酒好きでしたら飲んだ経験をちょっと自慢したいお酒の部類にはいるのでしょうか。ワインでいえば「ロマネコンティ飲んだことあ…

 生き物である日本酒

酒造りが杜氏の経験値 職人技だけに頼っていた戦争前の時代、酵母の働きは科学的に解明さてれてはいませんでした。 原材料の米も地元のものだけを使い、出来高は天候に左右され、品質が安定的ではなかったはずです。 不確定な要素たっぷりの中、うまい酒を造…

 日本ワインの奇跡

サントリー シャトー・リオン・ノーブル1975 お得意様が持ち込まれたワインです。 1975は私がお酒の飲める年齢になった頃。当時の状況は肌で理解しています。 この頃、日本人が通常飲んでいたのは瓶ビールと熱燗。ワインブームはもちろん、焼酎でさ…

 「杯が満ちるまで」鈴木真弓さんの渾身

お客様によく訊かれます「親方、美味しい日本酒ができる一番の要件ってなに? 米?酵母?水?」 私は確信を持って申し上げます「人です」 いまでは地元の米だけではなく日本中のあらゆる場所から質のいい米を入手することが可能です。実際、蔵のフラッグシッ…

 蔵元と杜氏の関係

昨日話題にした獺祭さんでは、蔵の経営危機の時に杜氏に逃げられた苦い経験が語られていました。「杜氏は手抜きの天才」とも。 蔵元も杜氏も経営者 職人である前に人間ですから、人格的な葛藤があってもなんの不思議もありません。 お互いの齟齬があって馬が…

 工業化する日本酒の未来ってあり?

日経新聞の記事に日本酒蔵の話題がありました。 巷では入手困難になっている獺祭(だっさい)です。 リンクしていても新聞記事はすぐに読めなくなってしまうので私なりに要約すると、 「地方の山間にある小さな蔵が、杜氏さんに辞められてしまったことで試行…

 ビールのあり方はこの人に聞け

ビールのお話をちょっと前に書きました。 米やコーンスターチを原材料に使うことの私の思い違いは、お世話になっているガージェリービール 佐々木社長のブログですべて正されました。 すでに読んでいるはずなのに忘れてしまっていました。 ここには日本人の…

 日本のビール

本来ビールというのは麦芽とホップだけで出来ている飲み物というのはご存じでしょうか。 が、 ちょっと待って、今あなたの飲んでいるビールもしくは、発泡酒のラベル 原材料のところには米とかコーンスターチなどという言葉も並んでいませんか? さらに言え…

 達磨正宗1999の驚嘆

岐阜 達磨正宗は日本酒古酒界の小さな巨人であるとこのサイトでは言い続けてきました。 店では日本酒古酒の中でもっとも偉大な昭和54年をはじめとして、「弁いちでしか飲めない」達磨正宗も何度か使ってきました。 この蔵を初めて訪れたのが2000年前後でした…

銘酒の品揃え

私の世代は日本酒 特に吟醸酒の発展と共に歩んできた第一もしくは第二世代くらいに位置します。 アンテナを高く保ち、美味しい日本酒を見つけ店に置けば、それなりに評価をいただけたのは、居酒屋以上レベルの日本料理店がこの分野の当初それほど熱心でなっ…

お客様教育

先日お越しになったお客様がほろ酔いでおっしゃるには 「以前にねぇ、ある料理屋の大将に”あなたは麦焼酎のことが全然わかってない”って言われてね。五種類くらいの焼酎を目の前に並べられてひとつひとつ解説されたことがあるんだよぉ、まいちゃってねぇ」と…

 お茶割り

主には焼酎を緑茶で割るのをお茶割り。。。ひいては静岡割り(お茶の産地だからだそうです)というのだそうです。 たまにお客様からの「お茶割り」の注文があって、「できるだけNOとは言わない」ことをむねとしている私としては、「はい、かしこまりました」…

 新星現わる

飽き足らなかった日本酒に光が差し、「こんなお酒があるんならこの分野ももっと掘り下げていきたい」と目覚めたのが1982年前後。 菊姫大吟醸に出会ったときでした。 大手酒造メーカーとの決別したのはこの出会いがあったからです。 それ以降何度も「おお!」…

戦前のお酒にまつわる事情

中島京子さんの「小さいおうち」で描かれる戦前の姿は、私たちが想像していた。。。というのか、植え付けられた。。。(というかむしろ単に誤解していただけかも)姿とは違うものでした。 私自身もこの15年くらいでやっと暗くて押さえつけられた庶民の暮らし…

 日本酒〜昔のことを考えてみた

先日、40年に渡って第一線で業界を引っ張ってこられた仕入れ先の酒屋さんのお話を伺ってきました。 そこで知った思わぬ事実。 「日本酒は二級が美味しい」と未だにおっしゃる年季の入った飲み手がいらっしゃいます。私が日本酒に関わり始めたころにはお酒に…

 熟成

ラ・ドモワゼル・ド・ソシアンド・マレ2002 ボルドー オーメドック ソシアンド・マレのセカンドワインです。12年を経てやっと和食店で使える熟成感が出てきました。 5年目くらいではタンニンが固く、軽やかでチャーミングな表情であったのが、10年で軽やかさ…

きっと何かの間違い

先週末 こんなニュースがネット上にありました。 要旨はTPP交渉で酒の関税撤廃が提案される中、「世界に日本酒を」の動きがあるけれど、前途は多難である・・・ってことをいいたいのでしょうが、net上とはいえ、いくつかの事実誤認と、本当ならえらいこった…

 怒濤のご相伴ワイン

先週末から本日にかけて、たまたまワイン好き ワインプロが続けてお越しになり、それぞれに素晴らしいワインをお持ちになりました。 金曜日にはこれ。 ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ・ブルゴーニュ・ブラン2005 ドメーヌ・メオ・カミュ…

 まれに見る古酒

店では様々な古酒を熟成させていますが、希に予想を遙かに上回る熟成に達するお酒に成長することがあります。 以前に日記で紹介した「惣花」1997年 日本盛を醸す西宮酒造の逸品。大正天皇 昭和天皇の即位の際に使われた御用酒というヤツです。 冷温で長期間…

酒造りの迷信その5

酒蔵の印象というのは大きな木樽がいくつも並び、天井や梁には古いカビのような物がびっしりあるような処という印象がありませんか?酒のラベルに「蔵付酵母」なんていう言葉が書いてあったりすると、蔵に自然に住みついた天然酵母なら美味しいお酒ができる…

酒造りの迷信その4

酒造りのリーダーである杜氏さんは長い経験がものをいう仕事でありました。われわれの仕事と同じく一年や二年の経験で美味いお酒ができるわけがないと信じられていますし、事実名杜氏といわれる方々は比較的高齢の方が多いものです。 経験豊かで老練な職人で…

酒造りの迷信その3

お酒は寒冷な土地が美味しいというのが通説です。寒仕込みは基本中の基本。寒い時期だからこそ美味しいお酒ができる。 確かにその通り、特に大吟醸などの蔵の最上級は二月の一番寒い時期に仕込まれます。 がしかし、ここ静岡のように温暖な土地でも近頃では…

酒造りの迷信その2

いい酒はいい米から。 当然です。料理もお酒も素材がよくなければ決して美味しいものはできません。素材を技術でカバーするというなどと言う事こそまさに迷信で、どれほどの技術があろうと悪い素材はカバーする事がきません。 お酒造りに適した米は、食べる…

日本酒の歴史 昭和60年代以降

昭和40年代後半になると日本酒蔵では、「このまま三増酒だけではいけない」「売れればいいだけの桶売りでは日本酒の将来はない」「自分が美味しいと思うお酒を造りたい」という若い世代が出現し始めます。酒屋さんにも全国で「自分の売っているお酒は本当に…

日本酒の歴史〜昭和50年

昭和40年に主役の座をビールに奪われてからというもの、日本酒の生産量に陰りが見え始めます。経済成長を遂げ量よりも質を問われる時代にさしかかると、「こういう日本酒、美味しくないんじゃぁないの?」という消費者の疑問も出始めるのです。といっても…

日本酒の歴史〜昭和30-40年

昭和20年代後半の混乱期に始まった三増酒の時代は、昭和30-40年代に急成長期を迎えます。 日本中ががんばって働いて経済は右肩上がり、豊かな時代にはまだ時間がかかりますが、先が見えない暗い時代から明るい未来を信じた時代です。工業化、技術革新…

日本酒の歴史〜戦中・戦争直後

三話目にしてやっと歴史らしきお話になります。 日本酒の製法は第二次世界大戦と敗戦後の困窮でダメージを受けました。国家存亡の危機に「うまい純米酒を・・・」の気運が生まれるはずもないことは誰が考えてもわかります。その後の昭和30年-40年代も簡…

日本酒の歴史〜暮らしに根付いた

昭和40年代くらいからの日本酒の味は、私の記憶の中にあるのですが、それ以前の日本酒がどんなものであったのかは見当がつきません。特に戦前の日本酒。もちろん、製法や酒米、酵母についての記録は残っているものの、味わいをきめ細かく記述したものは見…

日本酒の歴史〜再録

つい先日、日本酒のこれまでの歴史をスタッフに話しながら、今の若い方々の日本酒に対する様々な誤解や偏見・・・いえ、若い方々だけでなく、ある程度の年齢の方々にも捨てがたい偏見がたくさんあることに気づきました。 これらは基本的に現在の豊富な物資と…

味が変わった

「○○は味が変わってしまった」 料理店の味でも、日本酒の味でも一般消費者がよく口にする言葉です。 残念ながら日本人はこれを否定的に使うことがほとんどです。「味が変わってしまった」=「味が落ちた」なのですね。 が 私たちプロフェッショナルは気楽に…