達磨正宗1999の驚嘆


岐阜 達磨正宗は日本酒古酒界の小さな巨人であるとこのサイトでは言い続けてきました。


店では日本酒古酒の中でもっとも偉大な昭和54年をはじめとして、「弁いちでしか飲めない」達磨正宗も何度か使ってきました。




この蔵を初めて訪れたのが2000年前後でした。


そのとき頂戴したお酒の中に「未来へ」1999 2000が数本ありました。「未来へ」は贈る人贈られる人をパッケージに書けるようになっているように、たとえば子供の誕生を記念して20年後にあけることを想定してできたお酒です。



あれから15年。達磨正宗の熟成経過についてはそれなりに理解しているつもりですので、店で熟成させた1999「そろそろいってみようか」と、お得意様の中でももっとも達磨正宗経験の豊富なお客様がご来店のときに開けてみました。


一口飲むとこれが息をのむほど素晴らしい。


黒いベリーを樹木で干からびるほど凝縮させたほどの濃厚な甘みと深く長い余韻、よく紹興酒とたとえられる味わいは、中国酒をはるかに越え、ヴィンテージポルトよりもさらに蜜な舌触りです。紹興酒 ヴィンテージポルト マデラの古いやつなどにその味わいをたとえることが多かった達磨正宗古酒ですが、これはそのどれにもたとえられない唯一無二の日本酒です。


まるで1963年版 サラ・ヴォーンの「ラウンド・ミッドナイト」のように妖艶でまとわりつくように歌いまわすのに、上品さと巧みさを隠すことはできない奥深さをもっているような素晴らしさ。


早速、当時の造りや蔵での熟成具合を伺おうと蔵元奥様しげりさんに電話すると、1999年は「未来へ」を発表した最初の年であったこと、蔵にもすでに三本ほどしか残っていないという情報を得ることができました。


蔵にはタンクで熟成した1999の古酒は存在するのですが、瓶熟の「未来へ」は料理店 酒販店レベルでは超希少ということになります。


日本酒古酒のスーパスター達磨正宗「未来へ1999」  古酒を理解できる方にだけ飲んでいただきたい。