クリエーター アーティスト 芸術家


「料理はアートである」


という方がいます。


また盛りつけを見て「ほとんどファイン・アートですねぇ」


とおっしゃってくださる方もいます。



私なんぞ「いやいや、とんでもない。アートの足下にも及びません」と申し上げ、実際料理が芸術の域まで達するのは至難と心底思っています。


「私たちは職人 アルチザンと呼んでいただければ嬉しいです」などと言っていたのは、山下達郎さんのアルバム「アルチザン」を聞いて、「おっ、カッコイイ」「これで行こう」などと浅はかに考えてのことであったのですが、アルチザンって”artisan”意味の一つには職人的芸術家などとも言われると知り、artの文字が入っているだけでもおこがましく感じるようになっていました。私たちはあくまでartにはほど遠い存在であるのですから。




つい昨日まで読んでいた大野左紀子「アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人」は、 ミュージシャンやアイドルがアーティストと呼ばれたがり、職人や職工がクリエーターと自称したがる昨今の傾向を紐解き、芸術の世界に足を踏み入れたつもりでワンランク上を行こうとする芸能人をナンシー関ばりに批評する痛快な書籍でありました。


これも大きな誤解であったのですが、有名大学の法学部出身者が全員弁護士になるわけではないことは知っていても、東京芸大 大学院を卒業したアーティスト達は皆芸術家として身を立てていくものと心のどこかで思っていたことも、この本で大きな幻想であることを具体的に教えてくれてました。


芸術家 アーティストはもちろん、デザインや建築、漫画家などクリエーターとしても創造の世界で喰っていくというのは恐ろしく難しいことであると言うことをあらためて知りました。職人だって、自分の技術を存分に発揮できる環境に立つことさえむつかしいのですから。