口は災いの元?
料理店、特に私ン処のように小さな店を切り盛りしていると、お客様との対話はとても大切です。
大事なのはその距離感。
近寄りすぎてもいけないし、遠すぎればお得意様になっていただけない。このさじ加減はもう一生の課題です。
特に一見や裏を返していただいたばかりのお付き合いの浅いお客様との会話は言葉を選ばなければなりません。
通り一遍の世間の話題や天気のお話なら過不足はないのでしょうが、もう一歩先に行こうと言うときに、たまたま共通の趣味趣向の話題があったり、共通の知り合いがいるケースがあります。
たとえば、接待系であれば、ご来店のお客様の取引先に店のお得意様がいるとか、お客様の同じ社内に昔からのお付き合いの方がいるとか。。。
「あっ、○○さまも長くお付き合いをいただいているんですよぉ」
普通に考えれば、話題のいいとっかかりになりそうですし、「あの人が来てるなら安心」と思っていただけそうですが、実はこれが鬼門であるとこも多いのです。
特に仕事上のケースですと、同じ会社、取引先などという接点は親しいだけではないのです。仕事上のライバル、難しい取引先、「あいつだけはゆるさん」ってな人間関係は掃いて捨てるほどあります。というより、むしろそれを疑ってかかる方が料理屋的には正解なのです。
そういう接点は利に働けば店に大きなメリットになる反面、失敗すると取り返しがつかなくなることも忘れてはなりません。
「同じ会社の○○さまには長くかわいがっていただいています」の一言で座が凍り付くということもありえます。
「あっ、その方知ってる」「あっ、○○さまもお得意様」という前に、どういう関係かを探らないで言葉を発してはならないのですね。
もちろん個人情報という面も含めて、難しいぃ難しいぃ立ち振る舞いです。