変身


「今度小さい子も連れてきていい?」とあるお得意様


「どうぞどうぞ。そのための個室ですから」と私


しばらくしてご来店された時は小さなお子様二人と奥様がご一緒。


美しい奥様が「お久しぶりですぅ」と。


「??」美人は忘れないはずの私なのに、見覚えがありません。


お座敷にお酒をお届けすると、奥様が「昔、○○でチーママしてました。何度かお伺いしてますよね」


「ああああ!!」


高級クラブのチーママとお子様連れの上品な奥様 ふたつの雰囲気のあまりの落差に全く認識できませんでした。


クラブで働く女性たちは同伴でよく店にみえます。同伴以外のプライベートでお越しになってもどこかオミズの雰囲気が残っている方が多いもので、料理屋のオヤジやオカミなども一見してその雰囲気を隠せない方もたくさんいます。クラブでも一二を争うほどの美しさで超売れっ子だった彼女は、今はどこからどう見ても昔の雰囲気は微塵も残していません。


仕事のできる夜の女性達を、客という立場でなく同業の端くれとして見ていると、「お帰りの時に爪の垢を置いていってください」と申し上げたくなるほど客あしらいが見事であることがあります。彼女も一流の名に恥じず見事でありました。それが今は完璧に子ども達のいいお母さんに変身しています。


姿形から会話から今の彼女を見て昔の仕事を言い当てる人は皆無ではないかと思うほどです。


いずれにしても今の幸せそうなお顔を拝見していると、売れっ子だった昔は常に戦闘モードだったのだなぁ。。。と思うのです。


お幸せに。