サービスの流儀


先日NHKプロフェッショナルの流儀再放送で、メートル・ドテル宮崎辰さんの回をやっと観ることが出来ました。


きめ細やかな心配りは、私たち料理店を営むものにとってとても勉強になることが満載でありました。


しかしながら、駆け出しのメートルがあのサービスをみて、なるほどぉ。。。とまねたりすると痛い目をみることがあるのもサービスの難しさです。


料理は「これが私の料理です!」とこちらの自己主張をある程度押し出すことが可能で、定型が決めやすいものでもあるのですが、サービスは突き詰めていくと10人のお客様に対して10通りの接し方があるというのが悩ましいのです。


たとえば、番組での宮崎さんのお客様のプロポーズを手助けするという、かゆいところに手の届くような手法は別のお客様にとってはこちら側に入り込みすぎて鬱陶しいという感性のお客様も確かにいるのです。


かゆいところに手が届いていないのはもってのほかとしても、かゆいところをかいてあげています。。。というサービスと、お客様は気づいていないのだけれど、実はかゆいところをかいている。。。というサービス。どちらがお客様にとって心地いいかは人それぞれなのです。


宮崎さんの働くお店は、カップルの決め技として頻繁に使われる店ですので、そのために特化したサービスが秀逸であっても、あの場にオヤジ達の接待が入り込んだらどうなるのか?映画「たんぽぽ」の「スープはコンソメでいいや」「舌平目はムニエルにしてみるかぁ。。。」と全員同じ献立・・・のお客様達には同じサービスでは居心地が悪いだけになるのかもしれません。(私、ずっと以前、オヤジ達だけであの店(前の形の)を使ったことがあります)


そこん処を自在に使い分けることが出来るようになったら正にサービスのプロ。


とはいっても、どれほど素晴らしい接客技を持ったサービスマンでも「アイタタタ」という手痛い失敗は年に何回かは必ずあります。万能はありえないのです。それがサービスのおもしろさでもあり、怖さでもあるのです。極めることがない・・・というのがサービスです。