指導者の査定


昨年末も例年のように調理師学校から生徒が研修にやってきていました。


一ヶ月間、女の子が二人。


二人ともとても気立てのいい娘で、仕事ができるできない、挨拶ができるできない、返事ができるできない、言葉遣いがちゃんとしているしていない、身だしなみが整っているいない・・・などという研修にとって大切な要件以前に、彼女たちの笑顔と笑い声が調理場の空気を和ませてくれていたのです。


もちろん、学校の授業の一環としての研修という立場から見ても100満点に近い優れた子たちでもありました。


年が明けると、彼女たちの成績をつけて学校に送らなくてはなりません。点数をつける部分は簡単に済むのですが、私が大切にしたいのは文章で彼女たちを評価すること。一人一人の印象とよい点指導すべき点、できるだけたっぷりと綿密に書き綴ることを毎年の課題にしてきたのです。


この文章がいかに上手に書けるか・・・ここが研修を受け入れる指導者としての能力の一つではないかと思うのです。


板前などという商売をしていますと、文章を書く作業とは無縁の毎日です。あったとしても、お気楽なmailを打つくらい、原稿用紙に向かうこともなければ、ワープロで「○○字以内」などという原稿を書くこともありません。きっと学校時代の読書感想文以上にハードルの高い仕事であるに違いありません。もしくは点数だけで感想は書かないのかも。


そこで、日々板前日記などというものを書き綴っていることが少しは役に立ちます。何しろ小文であれば、書くことがほとんど苦にならないようになっています。むしろ楽しい内容であれば、書くこと自体が面白い。伊達に毎日公になる文章を書いているわけじゃぁない・・・っていう事実がメリットとして現れるのです。とはいっても役に立つことってこんな時しかないんですけどねぇ。


まっ、研修生たちを絶賛した文章が調理師学校の先生方に響いてくれるかどうか?これが研修生を受け入れた側の指導者として査定されているつもりで書きます。


よき指導者であったかどうか?一年後に「今年も研修の受け入れをお願いします」というオファーが再びくるか・・・それが答えになります。