熱い思いのはけ口


友人のフレンチイタリアンの若いシェフ達は、時々集まっては食事をしながら仕事の話をするのだそうです。


先日はイノシシの話だけで三時間、熱く盛り上がったと聞かせてくれました。


「なにしろねぇ、みんな小さな店を切り盛りしているから、アルバイトのサービス担当の女の子を掴まえてイノシシの話をするわけにもいかないんですよぉ。情報交換も大事ですが、”思い”のはけ口ってのも大切ですね」と。


みんな調理場もサービスも最小限で密度の濃い仕事をしている方々ではあるのですが、奥さんやアルバイトのおねーさんと食材や調理法の話をすることなど皆無なんだそうです。一生懸命手にいれた食材や、丹精をこめた仕事ぶりを誰かと話したいという気持ちは痛いほどわかります。


で、
なるほど・・・という思いと、振り返ってみて自分自身は・・・というと、そういうストレスが一切ないことに気づきました。


熱い思いはストレートではないですが、板前日記にある程度包み込んで書いていますし、ありがたいことに先日書いたように、サービススタッフとは食材や調理法まで細かく意思の疎通を図ることが普通になっていますので、無理やり話を聞いてもらうというよりも、スタッフのほうから積極的に質問を投げかけてくれています。


というわけで、私にははけ口らしきものは各所にあるのでした。


もちろん、お客様も料理法や食材のことを聞いてくださる方も多くて、あらためて恵まれた環境に感謝・・・です。