クリスマス島の塩


20年近く前のこと、銀座「レカン」で食事をしたときのこと。皿に添えられていた塩に旨みがあって「美味しい塩ですねぇ、どちらの?」とメートルさんに伺うと、「クリスマス島の塩です」という答えがかえってきました。


各地の塩が入手できるようになったのもそれから後のこと、その当時は今のようにデパート辺りで選ぶのに困るほどの品揃えではありませんでした。


店でも「伊豆大島」「小笠原」「ゲランド」「福建」などの塩を使ってきたのですが、ふとしたことで最近このクリスマス島の塩に再会しました。


そういえば、あれだけ塩が多く出回る中、クリスマス島の塩にはあれ以来であうことがなったと思って輸入業者さんに伺うと「ラニーニャ現象のおかげでクリスマス島に降る雨が多くて、長い間塩の生産ができなかったんです」と。今ではそれらの問題がクリアできる設備が整って輸入可能になったのだそうです。


クリスタルとよばれるこの塩は粒子が大きくて、素材の旨み成分を引き立ててくれるような気がします。塩辛味が少ない分雑味が多く含まれていて、塩を強調する料理にはピッタリです。



問題は粒子が大きすぎて解けにくいこと。お椀などの沸騰に対して繊細な料理にはどうか・・・というのも、水塩を復活させることでクリアできました。


水塩は大昔は職人が使っていた手法で、塩を三倍の水で煮溶かし、結晶を漉してつくる塩水のことです。こうすると、顆粒の塩よりも計量が正確にもなって思いのほか使い勝手がいいことに気づきました。


いまでは、普通の荒塩、ゲランドの塩、クリスマス島の塩大粒と砕いたやつ、水塩 5種類を使いわけるようになりました。