ランチョン・テクニック


二月に入ってからのNHK FM「松尾堂」のゲストのラインアップが素晴らしくって、お話にひきこまれつづけています。


第一週は楳図かずおさん (漫画家)と金塚晴子さん(和菓子研究家)
第二週が平野啓一郎さん (作家)と植木理恵さん(心理学者)
第三週が石井竜也さん (ミュージシャン)石井匠さん(考古学者)


特に印象に残ったワードが第二週の植木理恵さんがお話した心理学的なキーワード「ランチョン・テクニック」


心理学に興味のある方には周知のことなんでしょうが、私は初めて聞く言葉でした。つまり「ランチョン・テクニック」 ・・・食事中(そしゃくをしながら)は、人の意見に納得しやすい・・・ってことなんだそうです。料理屋的には特に美味しいワードです。


たとえば愛を告白するにも、商談を成功させるにも、なにもなしよりも、お茶やお酒よりも、「そしゃくしながら」というのが効果が大なのだそうです。それは、マメをかじるだけでも違うんだとか。食べながらこちらの側に引き込むってわけですね。


先日、接待する側が全員外国人(多国籍) される側が全員日本人というお座敷がありました。英語と日本語(外国の方々も日本語堪能)が飛び交うユニークな席でしたが、まさにこれなどは日本的な「まぁまぁ一杯」の感覚というよりも「ランチョン・テクニック」を理解した上での商談であったのかもしれません。


潔癖症(最近はとみに)の日本人は「接待」という言葉に「黒っぽいなにか」を想像して、すぐにやましさを感じるようですが、ランチョン・テクニック、しかも心理学的に立証されている・・・っていうのがTVのお気楽な情報番組で繰り返し放送されれば、「料亭政治」に代表される接待も「ランチョン・テクニック」として認識されるかもしれません。


経験的にいってもいっしょに食事をしながらお話をすることの親密度の深まり方というのは、会議室の数倍の効果があるんですけどねぇ。