酒店の懐の深さ


長くお付き合いをさせていただいている酒店の多くは、陳列棚を眺めて「ふーーん、こんなお酒扱ってるんだぁ」だけでは推し量ることができない懐の深さがあります。


冷蔵庫の奥の方、一般の方の目に触れないところに秘蔵酒が眠っていたり、セラーの片隅にとんでもない逸品がさりげなく置かれていたり、お付き合いをすればするほど知らなかった何かが出てきてワクワクさせられるのです。



写真は奄美大島黒糖焼酎「長雲 長期熟成」



芋焼酎ブームの後、今度は黒糖・・・と黒糖焼酎を集めていた頃、お得意様にお教えいただいて手にいれ、黒糖焼酎の美味しさに目を開かせてくれた極上です。


ただ、焼酎ブームの加熱と共に手に入らなくなり、奄美に出かけるお得意様にお願いして探してもらっても、熟成期間が必要なためか蔵元を訪ねても手に入らなくなっていたのでした。


ところが先日、お付き合いの酒屋さんと黒糖焼酎の話をしていると、「ああ、長雲ですかぁ。。。。長期熟成でよければありますよぉ」といとも簡単に奥から出てくるではありませんか。今まで黒糖の話をしていなかったから必要ないかとださなかっただけで、もったいぶらずにお気軽に出てくるのが素晴らしい。日本酒はもちろん、ワインへの見識も並外れた酒屋さん、黒糖もかぁぁ。。。と脱帽です。


ブームが過ぎて黒糖焼酎の注文も少なくなった昨今ではあったのですが、仕入れてから一ヶ月もしないうちに、お客様が「黒糖焼酎ある??」と


「長雲でよろしければありますが。。。」とこの長期熟成をお見せすると。


「おお!一般的な長雲は飲んだことあっても長期熟成はお目にかかったことなかったんですよぉ」と大喜びで召し上がっていただけました。


件の酒屋さんの方に向かって手を合わせつつ、その懐の深さのおかげでお客様の笑顔を拝見できた料理屋冥利に浸っていました。