肉を焼く


三年位前から肉を焼くことが少しづつ上手くなってきたような気がします(手間味噌ですが)


もともと和食の料理人には肉を焼く機会が多くはありませんでした。フライパンで焼く方法、スキレットで焼く方法、オーブンを使う方法、炭火で焼く方法。修行時代から今まで、誰かにコツらしきものを伝授してもらったことはありませんでしたから、ある意味見よう見まね。フレンチやイタリアンの有能なシェフたちの仕事ぶりを見ては少しづつ学んできたような気がします。


二年くらい前からスキレットを頻繁に使うようになり、分厚く切った庄内三元ヨーク豚や短角牛、シャロレー牛、蝦夷鹿などを焼くことを繰り返してある程度のスキルは身につけることができてきました。


今、面白いのが炭火を使う方法。もちろん今までも炭で肉類を焼くことは当たり前にしてきたのですが、その手法は、炭で適切に火が通る厚さに肉を切ることでした。それよりも二人分でも三人分でも肉の暑さは5-6CMの分厚さに切り、お客様のご来店よりも前から備長炭のかなりの遠火で炙り始め、焼いては肉を休ませ、焼いては肉を休ませること3-4回 一時間半〜二時間かけてゆっくりと火を通していきます。表面はかりっと、中はロゼになるちょっと手前までにお出しする直前に持って行き、最後に仕上げの一炙りで完成させます。


これまでの焼き方は表面を焼き固めて、肉汁を閉じ込めるというのが一般的でしたが、北島亭さんやカンテサンスさんなどの手法を見るうちに、日本料理ならば炭火で同じ火入れができないだろうか?・・・と試行錯誤を繰り返しています。サシのはいっていない赤みをかみ締めて美味しい牛肉などにはこの手法が最適なようなきがしますが、果たしてどこまで突き詰めることができるのか?