至福のアンリ・ジャイエ


アンリ・ジャイエさんが亡くなったのは2006年のこと。


この日の日記にアンリさんのことを書いていますが、残念ながらそれ以降も彼のワインを飲む機会は訪れませんでした。


最初にブルーゴーニュワインに強烈な印象を持ったのが、たぶんアンリさんのアドバイスもたくさんあったであろう、後継者の一人メオ・キャムゼのワイン。昨年、普通のACヴォーヌ・ロマネでもっとも美味しかったのも、同じく後継者のエマニュエル・ルジェの1996年。


アンリさんの名前を冠したワインではなくても、アンリさんの影を感じるワインに感動してきました。アンリさんのワインを直接飲む経験を積むためにはもう10年早くブルゴーニュワインに目覚めていなければなりませんでした。


昨日ソムリエご夫婦二組がお持ちになったワインが、まさしくアンリ・ジャイエと名前の入ったボトルでした。


アンリ・ジャイエ ヴォーヌ・ロマネ レ・ブリュレ 1983年 神様が造ったワインです。


ご相伴させていただいた・・・というよりも、同じ分量だけ飲ませていただいた、レ・ブリュレは天上の味わいと香りでした。○○の香りとか、タンニンと酸のバランスが・・・とかいう表現なんてどうでもよくなる、ひたすら妖しくて、艶やかで、満天の星の元にいるように広大な広がりをもった恐ろしく美味しいワインでした。香りをかいだだけで恍惚となり、口に含むともう言葉が出なくなり、飲み込むのが惜しくなるのです。


ついに憧れのアンリ・ジャイエを味わえたました。これまで二三本飲んだことのあるジャイエとは別のもの。これこそがアンリ・ジャイエのワインなんでしょうね。これで「ジャイエ 飲んだことある」と大きな顔ができます。


ジャイエのレ・ブリュレの至福の記憶だけで一年は充分に幸福でいられます。