新筍

clementia2010-04-20



まさに筍の季節であります。


実際に店ではこの時期になると筍そのものを楽しんでいただくにはちょっと遅いくらいなわけで、一旦大きくなり始めると一週間の間にあっという間に時期を過ぎてしまうような食材でもあります。


まっ、ともかく、今の時期きっと頂き物でも筍を頂戴したりするかもしれません。というわけで私ン処の筍の煮物のやり方を少々。


要は下茹をして出汁と調味料で煮る・・・それだけのことなのですが、「難しい」と思われている方も多いかもしれません。



まずは下茹。筍はともかく新鮮なうちに下茹をすることが鉄則です。「明日食べるから下茹も明日」ではなくて、明日焚くとしても下茹だけはいただいてすぐに済ませましょう。


筍の穂先を斜めに切り落とし、皮をむきやすいように軽く縦に包丁目を入れておきます。大きめの鍋に水と米糠を入れて水から茹でます。糠の量は水の1/30くらいでいいでしょうか。あまり神経質になる必要はありません。鷹の爪を入れる方もいますがそれはおまじないみたいなもんと思ってもいいでしょう。


沸騰したら弱火にして一時間半、湯が足りなくなったら足して全体に筍がかぶっているようにして茹でます。


茹で上がったらそのまま半日、自然に冷まします。冷めたら水で糠を洗い流しながら皮をむきます。この状態で水につけて冷蔵庫に保存すれば翌日焚いてもOKです。できれば皮をむいた筍をもう一度水からひと煮立ちさせて糠抜きをすれば完璧です。




さて、基本的な筍の煮物はこの下茹でした筍を出汁で煮ます。


筍は出汁のおいしさがそのまま現れますので、出汁はきちんととりましょう。水1リットルに20gの昆布を入れ少ししてから火にかけます。沸騰する直前に昆布を取り出し、沸騰後火をとめて鰹節を30g入れます。2-3分そのままおいてアクをすくい漉します。


一口大に切った筍(穂は縦に下の部分は輪に)をたっぷりの出し汁にいれて10分ほど出汁煮込みをします。このときさらに出汁の旨みを加えるようにガーゼかペーパータオルに鰹節をくるんで追い鰹、昆布も加えて煮ます。そこに出汁の1割量くらいの酒を加え、塩と薄口醤油で味をつけます。1リットル分の出汁でしたら塩が小さじ1薄口醤油が大さじ1くらい味をみて足りなければさらに加えましょう。最初はちょっと薄めの味わいのほうがいいかもしれません。もしご飯と一緒にワサワサ食べたい人には塩と薄口醤油ではなくて、味醂と薄口醤油で味をとってもいいかもしれません。そのときはまず出汁15に対して味醂1薄口1くらいを最初に、もうちょっと濃いほうがよければさらに加えましょう。調味料は最初にちょっと控えめに・・・二回で仕上げるくらいがいいでしょうね。


調味料を加えたら5分ほど煮て火を切ります。一旦自然に冷まして、召し上がる直前に暖めなおしてお皿に盛りましょう。暖めなおすときに出汁に若布などを加えると筍と若布の相性も楽しめます。


いちいち書くと面倒くさそうですが、煮物の基本はこの中に一通り納まっています。手間を惜しまずにトライしてみてはいかが。



最後に、この筍の煮物の美味しさを決定付けるのはなんといっても産地であることを付け加えなくてはいけません。どんなに採れ立てであっても産地と栽培事情が芳しくなければ残念ながらえぐみは最後まで残ります。最上の産地が最上の美味しさをもたらしてくれるのです。