煮物のコツその2


昨日お話した煮物のコツは醤油とお砂糖(味醂)を使った甘辛の基本でした。


要は日本人が美味しいと思う甘辛(醤油味と砂糖味)のバランスには一つの定型らしきものがあるってことです。


この類の煮物を評してある若い女性作家(どなただったか?)が「茶色いおかず」と言い表しましたが、まったく言いえて妙です。私が子どもの頃ってご飯のおかずは大概茶色いおかずばかりが並んでいました。田舎のおばあちゃんの料理も同様です。茶色いおかずです。食のバリエーションが豊かになった今では、それをお袋の味と言うのかもしれませんが。


この茶色いおかずに対して、食材の持ち味を生かしたあっさりした味付けはどうするのか?


塩:薄口醤油=小さじ1:大さじ1


です。このバランスがまず基本だと思って大きな間違いはないと思います。


たとえば、お吸い物


お出汁10cupに対して塩小さじ1 薄口醤油大さじ1  で出汁がきちんと取れていれば不味くはない味になります。



たとえば大根の煮物


お出汁5cupに対して塩小さじ1 薄口醤油大さじ1  これに砂糖も大さじ1くらい入れると案外バランスの良い薄味の煮物ができます。「砂糖を後で入れちゃったから”さしすせそ”に反していて美味しくならない」なんて思う必要はありません。家庭料理はそれほど厳密なモンとは考えないほうがいいのです。


蕪や白菜などもこの味付けを応用して自分でアレンジするとあっさり味の美味しい煮物が出来上がります。



もう一つ。ほとんどの煮物は味付けをしてから長時間に込む必要はありません。根菜類の固いものは水から茹でて最初にある程度火を入れておき、まずは出汁で10-15分くらいコトコト(ここで出汁の味が入っていきます) その後に味付けをして5分くらい。そこから冷ますことが一番大事なのです。


煮物の味は冷めることで中にしみていきます。


冷まし、食べる直前にもう一度温める。これで完璧です。