煮物のコツ


台所に立つ女性は「煮物はむつかしい」と思い、食べるだけの男性は「つまるところ煮物におふくろの味が。。。」と思ったりするようです。


実際私達プロフェッショナルの世界でも、焼き方、揚げ方の上に煮方が位置し、煮炊きができることは職人としての最後の関門と言われます。


といっても家庭レベルの煮物にそれほど高いハードルを設けたり、むつかしいと思い込むのも難儀です。もっと簡単に考えればいいのです(なんて思えるようになるには私、ずいぶん時間がかかりましたが)


日本料理の煮物に使う調味料は、醤油と砂糖(みりん) 塩、味噌くらいのものなのです。これらを組み合わせればほとんどの煮物は出来ます。しかも醤油と砂糖のバランスってそれほど多種多様ではないのです。


ここでお伝えしたいコツ。


醤油:味醂:砂糖=1:1:03-0.5


つまり多くの醤油+甘みベースの煮物は「醤油と味醂が同割りに砂糖ちょっと」なのです。これにお出汁がどれくらいの分量加えられるかで甘辛の薄い濃いがきまります。


たとえば筑前炊き、様々食材を一度炒めて出汁10に対して「醤油:味醂:砂糖=1:1:03-0.5」 最初はちょっと薄いな・・・と思うくらいの味付けを出汁が少量になるまで煮詰めていって仕上げると丁度よく出来上がります。


たとえばカボチャの煮物 出汁8に対して「醤油:味醂:砂糖=1:1:03-0.5」 あっさり煮てもいいし、全体の調味料の量をカボチャにひたひた位にしておいて出汁を煮詰めれば煮っ転がし風になります。


たとえばほうれん草のお浸し 出汁6に対して「醤油:味醂:砂糖=1:1:03-0.5」(砂糖はもっと少なくても可)の出汁の中へ湯がいてよく絞ったほうれん草を漬けておけば出来ます。


たとえば穴子を焚くとき。水(出汁ではありません)10に対して「醤油:味醂:砂糖=1:1:03-0.5」 湯通しした穴子をこの地で焚くこと20-30分でおすし屋さんの煮穴子に近いものは出来上がります。


実際の料理店の現場ではもうちょっと緻密な作業がなされていますが、「醤油と味醂が同割りに砂糖ちょっと」プラス出汁で多くの煮物は失敗がありません。「さしすせそ」の順番でなければというのも実直に守らなければ美味しくならないと思い過ぎないことも大事です。


試してみてくださいね。
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