プロの舌


ワイン通たちのお座興にブラインド・ティスティングというのがあります。


ボトルもラベルも隠したままで注がれたワインの銘柄、ヴィンテージを当てようというヤツ、ワイン通でない方々もそんなお遊びがあることはご存知かと。実際、ソムリエのコンクールなどではこれも競技の一つなんだそうですが、マンガで見たりするように、力のあるソムリエが銘柄からヴィンテージ、果ては畑名まで当てるなんていうことは至難の業・・・どころかほとんど不可能なお話なのです。


世界的なワイン評論家ヒュー・ジョンソンの著作にあったと記憶していますが、あるパーティーで「ワイン評論家なら・・・」と試されたワインが、たまたま二三日前に飲んだのと同じもので、ぴったり当ててしまった。なんていうことがあったのだそうです。


「そんなにブラインド・ティスティングが難しくても、ボルドーワインとブルゴーニュワインを味わい分けるのに失敗することはないでしょ」という問いかけにジョンソン氏


「今日はまだない」と答えたとか。ことほど左様に味だけでワインを当てることは難しいのです。



実際私も以前に知り合いのワインバーで「飲んでみて」と銘柄を教えてもらわずに出されたグラスがあったのですが、やっぱり「ボルドーらしい」くらいしかわかりませんでした。ラベルを見せてもらうと「マルゴー1992」!


マルゴーも92年だとこんな表情なんだぁ・・・と初めてそのとき知ったくらいでありました。味だけで銘柄がわかるのは一週間以内に飲んだワインと同じもの・・・くらいなもんなのです。


皆さんもソムリエさんや板前をブラインド・テイスティングで困らせないようにしてあげてくださいね。