出会い
日本料理には季節の出会いがあります。
春の新筍に新若芽、木の芽に代表されるように、旬がジャスト・イン・タイムで出会ったものの相性がピッタリくるとその料理は長い間支持されます。
ちりめんじゃこを実山椒で焚いた山椒ちりめんもその一つ。しらすと実山椒の時期がちょうど重なるのです。鱧と松茸や鰤大根などというのもそんな出会いのものといえるでしょう。
昨日、能登は珠洲のお酒「宗玄」の大吟醸の酒粕が届きました。今年の宋玄の出品酒は久しぶりに復帰した坂口幸夫杜氏の渾身の一本で、坂口ファンとしては再び宋玄を使えることが嬉しい朗報でした。
さて、この酒粕、甘酒にでもしようか・・・と考えつつ冷蔵庫を眺めると、茹であげて粒だけを取りそろえたトウモロコシが。昨日までは地物の枝豆といっしょに小さなかき揚げにして前菜の皿のに盛り合わせていたのですが、このトウモロコシをトロトロの大吟醸酒粕をつなぎにして小さく丸め、薄衣で揚げてみました。
とうもろこしの甘い味わいとプチっとした食感に大吟醸酒粕の香りが鼻に抜けて・・・ちょっといいかもしれません。
とうもろこしと大吟醸酒粕。これも季節の出会いといえばいえなくもありません。お客様の反応次第で生き残ることができる小品になる可能性も。