古酒の評価


日本酒古酒はまだまだ世間一般には認知がいきわたっていない世界です。


初めて飲む方がよくおっしゃるのが「紹興酒みたい。。。」です。




先日お越しいただいたご兄弟は初めてのご来店でしたが、最初の10分で食への造詣の深さが際立っていることがすぐにみてとれました。


お話の流れの中で奈良の「梅の宿」15年の古酒のお話が出てきて、「もしかしたらこの方々なら・・・」と、一見のお客様には提供することを躊躇する古酒をお出ししてみました。


お出ししたのは梅の宿吟醸酒 生 昭和62年 常温古酒。たぶん世の中にこれ一本しか存在しないお酒です。


火入れをしない生酒を常温で20年以上寝かせるという荒業にさらされた、古酒の中でもハードルの高いお酒、うっかりお出しするお客様を間違えると「腐ってる」と言われそうな逸品を一口飲んだだけで「おお、マルサラ マデラの上質なものよりもさらに切れ味がいいですねぇ」と。


マデラ、マルサラという比喩が出てくるだけでその経験値の高さが推し測れます。


「どうだ!こいつは!」という問いかけを見事に跳ね返すようなお言葉に嬉しくなって、次は雨後の月大吟醸平成元年。そして私の最後の決め技達磨正宗昭和59年。追い討ちをかけるように達磨正宗ファーストキッス 生 平成14年冷温貯蔵古酒(これもたぶん世の中に何本もは存在しないお酒)


四本の大古酒の違いを適切な言葉で表現できるお客様はそうお目にかかることはありません。


その日は別のお部屋にワインラバー@達人のお得意様もいらっしゃって、仕事終わりには心地よい疲れが。お客様に恵まれることの至福に包まれました。