裏ごし

clementia2009-03-09



私が修行を始めたばかりの頃はスピードカッターなんていう調理器具はもちろんなくて、「裏ごし」と「あたり鉢」で素材をペースト状にするのが当たり前でした。


裏ごしといえば馬の尻尾で編んだものと金ごしの二種類があって、目の細かさも「荒目」「中目」「細目」「羽二重」を使い分けていました。穴が開いたり、網目が伸びたりすると、張り直しの修理をしたものなのです。


ところが、近頃ではその手の作業の半分はスピードカッターに取って代わられ、裏ごしも張り直しの職人さんがいなくなって、壊れたら新しく買い換えるのが当たり前になってしまいました。さらには裏ごしの枠も木製の「曲げ」が少数派になり、ステンレス製に。網目もその部分だけ取り外し可能になって使い捨ての感覚はさらに助長されています。馬の尻尾の裏ごしはそのうち文化財になるかも。