ワインの値段


上質なワインは年々値段が上がっていきます。


格付けクラスボルドーワインが飲み頃をむかえる15-20年後の値段は間違いなく倍以上。五大シャトーともなればさらに高い値段がつきます。本来の美味しさを味わうためには、出たばかりのときに買ってじっと我慢するか、高い値段を払うかのいずれかです。


たとえば、私ン処のシャトー・ラトゥール1985はワインリストで55000円という値段をつけています。このワインを仕入れたときにはそんな値付けをする程度の値段で買っていたのです。リストに載せて以降、年ごとに値段をあげていくということはしていません。


今市場を見ると、ラトゥール85は80000-100000円、レストランでそんなワインを仕入れて値付けすれば20万円以上でもおかしくないのでしょう。私ン処で20万円払っていただければリッシュブルーも開けて4人分の料理までついてきます。


ただし、一般の方々にとってはワイン一本55000円というのはただのバカ高いワインでしかありません。「85のラトゥールがこの値段?ありえん!」と理解できる方はごく少数派です。



15年ほど前、赤ワインもちゃんとリストを作ろうと思ったとき、お手本になったのはアピシウスやジョージアン・クラブのきらめくようなワインリストでした。日本料理店ではこんな名店の高いレベルは無理としても、良質な選んだ造り手のワインがまっとうな値段で提供されている素晴らしいフレンチレストランのリストこそが目指すところでした。


料理店の良心を感じられるリスト。ほんのわずかの方にしか理解できなくても志は捨てないでいたいものです。




とはいえ、15年もがんばって結果を得られないなら、今の市場をにらんで値付けをしてもしょうがないでしょかねぇ。はて。