信頼関係


前回の日記で「信頼している酒屋さんからいただいた」と書いたお酒が、巷では超希少日本酒であることを言いました。私が全面的に酒屋さんを信頼し、先方も同じように「あの店、あの料理人ならばちゃんと評価してくれる方に大切に飲んでもらっているだろう」と信頼してくださっているからこそいただけるものだと思います。双方の思いが一致したところにいいお酒はやってくるのです。お酒に対する私と、店のお客様の正しい評価と絶賛の言葉をちゃんが酒屋さんに伝わらなければやってきません。批判だけの処には大切な娘のように愛しんだお酒をやりたくはないものです。


同じことは食材にも言えます。


例えば白川(白甘鯛の極上) コウジンメヌケの極上などはその魚の美味しさを知っている処にやってきます。魚屋さんに「あの料理人にはこの魚を」と思ってもらい、料理人は「あの方にはこの魚を」とお客様にお出しするのです。お魚の希少性は認識していなくても、召し上がって「ええ!なにぃこれ!」とわかるような方のところに私もお出しできたときの悦び。白川の頭やこうじんめぬけの脂ののった部分などという、一般市場ではお目にかかることのない食材が理解していただける方の口に上ったとき料理人としての至福があります。築くべき信頼は時間をかけてはぐくむもの、壊さないようにいつくしむものです。