それぞれの個性
だめな子だってそれぞれの個性を認めてあげたい。
ワインのヴィンテージもまさにそれと一緒です。
ワイン通は一つの造り手の最上の味の経験がいつも頭にあって、どんなヴィンテージを飲んでもその最上と比べてしまいがちです。「19○○はよかった。あれに比べると・・・」
すべて子供を学年一番の優等生と比較することでしか語れない教育ママみたいです。
シャトー・ラトゥール1969 パーカーの評価は身も蓋もない酷評。確かに1975や1961のような圧倒的なパワーとエレガントな熟成感をもつ完璧ないい子ではありませんが、ちょっと熟成が行き過ぎたとはいえ、ポイヤックとは思えない不思議な香りなのに40年を経てもしっかりしたタンニンと酸をのこした骨格を感じるワインでありました。これはこれでこのヴィンテージの個性として認識する許容量を持っていたいと思うのです。ラトゥールという偉大なシャトーの様々な姿を見られたいう喜びのほうを大切にしなくてはいきません。
ただし、店でリストに載せるとなるとお客様を納得させる勇気と相応な値段つけが必要なんでしょうね。
こういうのもワインの楽しみのひとつです。