ホスト・テイスティングさらに


皆さんはホスト・テイスティングをするとき、ソムリエさんにどのように答えますか?


「結構です」
「問題ありません」
ただうなずく
どうぞ皆さんへ・・・と手で示す


などなど様々な答え方があるのでしょう。劣化やコルク臭の確認のためのテイスティングですから「問題なし」を示せばいいのでしょうが、私が個人的にレストランでホスト・テイスティングをするときには3割り増しくらいでちょっと褒める言葉を使います。


「おお!」(ちょっと小声で)
「素晴らしいぃ」
(ここで香りや味わいのコメントを事細かにご披露するのは野暮な感じがします)


ソムリエさんの安堵の顔が見えます。


昨日も言ったように「ソムリエさんに馬鹿にされるのではないか?」と多くの人がホスト・テイスティングをいやがるのと裏腹に、ソムリエさんもお客様の反応をドキドキしながら見ているのです。


「だめだったらどうしよう」(実際には抜栓のときにコルクの臭いをかぐだけでほどんと判定できているのですが)
「お客様のイメージとワインが違ったらどうしよう」
「値段と期待が一致していなかったらどうしよう」


不安になりだしたらキリがないほどです。


そこで客は最初の一口で、自分の予想以上に美味しいことを(三割り増しで)あくまでワインに対して示すだけで、ソムリエさんのその日の仕事の五割は達成したといえるのです。ソムリエさんは心の中で小さなガッツポーズを作り、その後のサービスに割り増しがあったとしても不思議ではありません。ワインが問題ない上に期待以上ワインが素晴らしい。ワインを褒めているようで選んでくれたソムリエさんの力量への拍手。


お客様が美味しさを素直に表に現してくださることが料理人にもサービス陣にもこれ以上の達成感のある満足はありません。理解してくださる方、それを的確に表現される方のところに美味しいものは集まるのです。間違いなく。