メディアは飲んでいるか?食べているか?


雑誌やTVなどのメディアのグルメ特集の場合、実際編集者、ライターが食べ歩き、飲み歩き、自身で選んだ店やお酒がラインアップに並んでいるか?ほとんど場合、選ぶ前に食べ歩き飲み歩いてはいません。取材の際に初めて触れているのです。(もちろん情報は良心的に仕入れていると信じたいですが)一度取材した店がましょくにあわないからと言って没にされることもほとんどありません。


そうやってメディアに取り上げられる飲食店、お酒も、「TVに出ていたから」「雑誌に載っていたから」と、一般消費者はその言葉を鵜呑みにします。


今ではやっと下火になりましたが、芋焼酎が劇的に売れるようになるちょっと以前、森伊蔵が手に入って様々なお客様に「いい焼酎ですよぉ。焼酎の概念が変ります」とご紹介しても、「焼酎なんてぇ」と見向きもしてくれませんでした。結局1本使い切るのに一年半かかったほどです。ところがメディアに紹介され、巷で人気になるや否や、我も我も・・・と「森伊蔵ある?」です。


つい先日大分からお越しのお客様と麦焼酎「兼八」のお話になりました。「兼八」も発売間もない頃に酒屋さんに紹介していただき、その馥郁とした香りの素晴らしさにたくさんのお客様にご紹介したのですが、一本を売り切るのに2年かかりました。これも森伊蔵同様、メディアで紹介され始めると一気になくなり、いまでは私の口からお客様に「”兼八”置いてます」と紹介することはなくまりました。


私の言葉は信じられなくてもメディアの言うことは信じられるというわけです(ああ、ひがみっぽいなぁ)



お客様によく「この前TVでやってた○○ってお酒置いてる?」というお話もよく伺います。実際には「今お客様に飲んでいただいている○○の方がこの料理とこの順番の中では美味しく感じられますよ」・・・・と口から出そうになりながら、「ああ、○○ですね。いいお酒ですよねぇ。今度入れておきますね」とお茶を濁したりするのです。


目新しさだけを求め、専門分野を持たないメディアを信じすぎてはいけません。あくまで情報の一つとして片隅に置く程度で充分ではないかと。