さより

clementia2008-02-28



昨日書いた新玉葱が野で春を感じさせるとしたら、海ではさよりが美味しそうになってきて春を思います。


そのままお刺身にするのもいいのですが、私ン処では昆布〆にします。


一般的な昆布〆は魚に軽めの塩をあて真昆布ではさんで半日〜一日寝かせて使われます。ただし、さよりの場合は身が薄く味わいがやさしいために少々違う方法で柔らかな昆布〆にします。


塩は直接あてずに昆布を入れた塩水に漬けること20分。その後二枚の皮身を重ね合わせて写真のような薄い白板昆布という昆布で挟みます。昆布入りの塩水を使うことで塩味が柔らかく昆布の味と一緒に身に入り込み、白板昆布をつかい二枚重ねにすることで昆布の味もストレートでなくやさしく感じられます。食べてみて「ちょっと普通のさよりのお刺身と違うかな?」と思うくらいな感じ。


こういう使い分けをする日本料理の繊細さが好きです。魚の美味しさは鮮度のよさを生でストレートにお出しするだけでなく、持ち味を引き出すための仕事が大切であるという、日頃言い続けていることをそのまま表すような仕事になればいいなと思います。