年寄りのファースト・キッス

clementia2008-02-14




日記にもよく登場する達磨正宗さんは、私にとって最も大切な古酒のトップブランドです。店にも「弁いちブレンド」「十五年古酒(実は二十五年以上)」「昭和59年」料理に使う「平成8年」大量の酒粕などなど様々なお酒が置いてあります。


そういった標準ラインアップのほかに、初めて蔵に伺ったときに頂戴した「ファースト・キッス」が三本ほど冷蔵庫に寝かされていました。本来「ファースト・キッス」(味わいに似合った実にいいネーミングです)は古酒として寝かされるための新酒の生酒、寝かされて使うのではなく、新鮮さが命のお酒です。ひねくれものの私は、達磨正宗さんなら生だって寝かせたら絶対に美味しくなるはず・・・と寝かせて置いてみたのです。普通の古酒は常温で寝かせるこの蔵のお酒も生酒ですから冷蔵庫へ、さらには常温よりも長い月日が必要だと思ってはいたのですが、今日試飲してみるとこれが素晴らしい熟成を迎えています。いままでに味わったことのない「お年寄りのファースト・キッス」味わいはさらにまろやかに、達磨正宗でなければ出せない穏やかなひね香り、やさしい甘さ。日本酒の範疇では語りきれないお酒に成長しています。平成14年からですからすでに6年の年月が別のお酒を造りだしました。


生酒を寝かせることにも積極的な私でもこの姿は想像できませんでした。たまたま一緒にいた「びそう」さん(ブルゴーニュの日本料理店」のご主人)も驚かれ、「これ、フランスでも絶対受け入れられます!」とお墨付きをいただきました。


残念なのはわずか三本しか残っていないこと。理解できそうな方だけに味わっていただきます。