友 遠方より来る


昨日までの三日間、フランス ブルゴーニュから「媚竈 Bissoh」さんがお見えになっていました。客としてではなく、研修。調理場で仕事を隅から隅までご覧になっていかれました。


・・・というよりは、ていのいいスケ(助っ人)。風邪引きで休んでいたスタッフの代わりになって大活躍してくださいました。


昨年末「冬のバカンスの期間に調理場で研修をさせてください」という連絡をいただき、私ン処のような半端な店でいいのだろうか?という思いを抱きつつ「少しでもお役に立てるなら」とお引き受けしていたのでした。


だいたい、媚竈 Bissohさん、ブルゴーニュと言うフランスでも田舎町といえる地方にいながらなんちゃって日本料理ではない手抜きのない素晴らしい仕事をなさっていて、私の方が学ぶことが多いほどなのですから。そばで見ていても安定した仕事ぶりを見るとお教えすることなど何一つなさそうに見えます。


まっ、ともかくも基本的に私の店では秘伝や秘法、一子相伝などという大仰なものは一つもありませんから、お伝えできることはなんでもお伝えし、疑問に思うことはなんでもお答えするつもりで三日間を過ごしました。果たして得るものがあったのかどうか?「失敗しちゃったなぁ」と思われたとしても、私の方から見ると人手的にも大助かり、なにより、ブルゴーニュ話、フランス話(だけでなく回られた世界各国のお話)をたっぷり聞けたことが素晴らしく素敵な時間でした。特にブルゴーニュワインとその造り手たちの夢のようなお話は、「明日にでもブルゴーニュへ一ヶ月滞在したい」と強く願うほど魅力的なものでした。媚竈 Bissohさんの回りにはドミニク・ラフォンが、パトリック〜千砂・ビーズが、フィリップ・パカレが、フランソワ・ミクルスキーが、アンヌ・グロが、アンリ・F・ロックが・・・・と私にとっては憧れのスターたちがいて身近にお付き合いをし、日本料理を正しく伝える者、ブルゴーニュワインを正しく理解する者として尊敬されているのです。


調理場で、リビングで、仕事後のワインとともに語らった時間は本当に得がたい経験であっただけでなく、彼の魅力的な人柄に触れられた心地いい時間でありました。


今度は私がブルゴーニュで研修だぁ!(できるかなぁ?)