料理人の見た目


どなただったか「料理店のサービス料の中にはサービスマンのシャツの白さの値段も入っている」と言われた方がいました。


確かにお客様の前に出るサービス担当の衣服が薄汚れているのはちょっと辛い気がします。同様にカウンターでお客様の目に触れる板前の白衣もシミだらけでは問題があるでしょう。


若い調理場のスタッフに洗濯を任せておくと、厳しく言いつけても大概おろそかになるものですから、店では業者にクリーニングをしてもらうようにしています。それでも忙しい日にはついつい汚れが目立った白衣で冷や汗をかくことがあります。


夕方のお客様の場合には特に、ご来店の前に鏡の前に立つようにしているのですが、休憩中の昼寝に電話でたたき起こされて頭がボーとしたまま点検を忘れることがあります。先日、慌てて着替え鏡を見る間もなくお客様が見えてしまった日のことでした。


お客様の目が何かちょっと浮ついてるような気はしていたのです。気がつくとネクタイが大幅に衿からはみ出してコントの酔っ払いみたいな姿のままお客様とにこやかにお話をしていたのでした。冷や汗モノです。あの日の5組のお客様、ほーーんとに失礼しました。「ネクタイ変ですよ」なぁんて親しいお客様でなければいえないですよね。白衣もシャツも真っ白ではあったんですけどねぇ。