備忘録として〜「昭和史」半藤一利


図書館で借りた「昭和史」半藤一利を二週間かけてゆっくり読みました。この本は確か出版直後、「週間ブックレビュー」のインタビューコーナーで取り上げられ、半藤さんのお話を興味深く聞いたものでした。


若い編集者に勉強会で語ったものを文章として書き下ろしたその内容は、昭和史の幕を開ける張作霖爆殺事件から敗戦までを描いています。昭和史となると私たちの世代は歴史の授業では時間が足りなくてはしょられた部分であり、その後出版された本やメディアで取り上げられる昭和史は右傾か左傾かを常に推測しつつ発言を判別するような内容ものであることが多いのが実情でした。


半藤氏の著作は「ノモンハンの夏」で始めて触れ、「この人の言うことは信用できそうだ」という思いを強くした作家でありました。右か?左か?ではなくて、半藤さんの史観というものが常に貫かれているのです。「昭和史」も政府、天皇、その側近、陸軍、海軍、メディアの行動を時系列に検証することで、なぜ日本が戦争に突入して言ったかを具体的かつ詳細に描いていて、私がいつも感じていたい「時代の空気」を読むことができる好著です。


考えてみればここで描かれる昭和史は、亡くなった私の父が生まれてから成人するまでのまさしく二十年で、時代の空気を知りたければもっと父の若い時代をつぶさに聞いておくべきであった・・・と、今さらのように後悔するのでした。