備忘録として


”独断流「読書」必勝法”清水義範 西原理恵子   清水義範さんは「週間ブックレビュー」の常連としてTVでもよくその書評の確かさを認識していました。この本ではいわゆる古今の名作を清水さんの視点、西原さんの視点で解析し切り刻んで面白さを披露してくれます。まな板に登るのはちょっと本好きならすべて知っている、でも有名すぎて読んでない、映画ですでに観ている、古典すぎて手が出ない・・・などという名作ばかりです。たとえば「坊ちゃん」 ”その根本にあるのが、都は素晴らしいが、雛(田舎)はまるでダメで、恐いぐらいだという考え方だ” たとえば「ロビンソン・クルーソー」”無人島で生き抜くロビンソン・クルーソー 確かに苦境にいるのだがロビンソンのやることはすべてうまくいくのである。たった一人流されはするがため息がでるほど豊かである。こんなリッチな遭難者がいるだろうか。子供にはこの豊かさが楽しいのである。ものが豊かに手に入ることにわくわくする。しかし、無人島で一人で生活できるのだろうかという点に関しては、はらはらする。この物語はわくわくとはらはらという両面からの刺激に満ちているのだ”こんな本を読んでいると、備忘録と称して本を取り上げてもチンケな書評を書くのがますます恥ずかしく思えるのです。


”夜のピクニック”恩田陸  「今さらぁ」と言われてもしかたありませんが、読んでなかったんです。本などめったに読まない次男のクリスマスプレゼント(家族各々に本を贈っています)に買ったのがこれ。初めての「面白かった」の一言にかなり気をよくしていたのでした。贈った本人が読んでいないのではカッコウがつかないので遅まきながらページをめくると、想像通りナイトハイクで語られる高校生の恋バナをはるかに越えた人間模様を緻密な構成で語られています。まさに秀作。