日本酒選び


昨日もお話したように、私ン処で「日本酒を」という時には「是非お奨めを」と申し上げるのは、美味しくて稀少な品物はリストに載せられるほどの分量がないということもさることながら、何が出てくるかわからないという「サプライズ」を楽しみにしていただきたいという思いもたっぷりとあります。


よく申し上げるのは「私ン処のリストは自分で選ぶのをあきらめていただくためのリスト」ということ。日本酒リストをご覧になってそのうちの1/2の味が頭の中でイメージできたとしたら、かなりの量を経験されている日本酒好きではないかと想像できます。



そんなリストを自慢げにお付き合いのある酒屋さんに話していたとき、「全く逆のケースもあるんですよね」とおっしゃいます。その酒屋さんは豊富な経験から料理店のリスト作りのお手伝いをすることも多いのだそうです。


「銀座のカジュアルな日本料理屋さんで日本酒の注文が少ないから相談に乗ってほしいと言われた時の事です。リストを拝見すると選ばれたかなりいいお酒がずらりと並んでいるんですが、少々マニアックでお客様が読んでも理解できないんですね。利き酒師やソムリエのようにお酒の専門家がいる店ではありませんので、”お客様がわかりやすいお酒を並べてみたらどうでしょう?”と提言させてもらったんです。久保田、八海山、磯自慢。ちょっとした酒好きが話題にもしやすいお酒を並べるとお酒の注文が増えたんだそうです」


読むことが出来ないリストと読みやすいリスト、店によって提案の仕方は様々なのですね。



そういえば、もっと大切なことが一つ、リストのお酒の名前にふり仮名をふっておくこと。名前が読めないお酒を注文するお客様はほとんどありません。これって案外料理屋の落とし穴なのです。「十四代(じゅうよんだい)」を「とよしろ」と言った方もいるとか。「地元では”とよしろ”というのだ」と言ってゆずらなかったそうですが。。。。私の耳にはそういう情報は。。。。(もしかしてホント?)