前菜

clementia2007-07-24



今では当たり前になっている前菜という料理は、もともと日本料理には存在しなかったそうです。


確か魯山人の記述に「フランス料理や中華料理から取り入れた」というような内容があった覚えがあります。魯山人の発案であったのか、別の誰かであったのかは私には知る由もありませんが、祖父なども「昔は椀刺から始まるのが当たり前であった」つまりお椀刺身から始まるというような話を聞いたようにも思います。


とはいえ、懐石料理には「八寸」という考え方もあって、料理も半ばに海のもの山のものを盛った八寸尺の杉などで作った器を用意する慣わしは古くからあって前菜のようにここでお酒を奨める料理でもあります。今でも関西の超高級店では前菜よりは、先付け(居酒屋さんの突き出しよりはちょっと分量も多めの)に続いて煮物椀、向付(主にお造り)と続き、山海の珍味を盛り込んだ八寸を出す店も少なくありません。要は自分の店の料理とお酒の出し方によっていかようにも変化させていいのでしょうね。


店では先付け〜八寸よりは、前菜でまず喉を潤していただきたいという思いがあります。出来れば、海のもの山のもの、野菜魚貝肉類が塩、味噌、醤油、酢など様々な味わいのバリエーションで盛り込まれていることが理想的です。


昨日の前菜は「伊良湖産真蛸とハス芋の松前酢和え」「鱧の子」「地物とうもろこしと枝豆のかき揚げ」「富士宮産落花生塩茹 大蒜味噌和え」「浜名湖産巻海老 海胆きんとん」といったところを林和一さんの黄瀬戸に盛ってみました。