憧れの存在


20代から30代にかけて憧れていた店がありました。


ヨチヨチ歩きだった私には、その店の献立は理解不能。どうしたらこういう発想ができるのか?20年経ってもきっとこの店には近づくことが出来ないだろうと畏怖の念さえ覚えていました。


ワインや日本酒などの飲み物でもそれだけの専門の方がいらして(ソムリエという言葉はまだ一般的ではない頃)、器も私なんぞ有田焼の業者からしか手に入れてなかった時代に、地元の作家を積極的に使う試みをし、値段も場所柄を考えれば破格でもお客様をしっかりとらえているような雲の上の存在でした。




先日のお見えになられたお客様グループは、明らかにはされないながら日本酒やワインへの造詣が深そうであると推察され、「料理の献立をいただけますか?」と料理にも興味を持ってくださっていそうな方々でした。お帰りの時に領収書の宛名を伺うと、まさにその憧れだった店の名前、その店のスタッフの面々であったのです。



「実は今改装中でしてね。お噂は方々で様々聞いておりましたので伺いました」と。


憧れた頃から20年。その店に近づけたとは未だに微塵も思ってはいませんが、先方の「気になる存在」に進化しつつあるかもしれないと、ほんのちょっと自分をほめてやっていいかも???(自惚の悪い癖がまた。。。)