昔の料理屋


昨日お話したように、「昔、料理屋は料理とお酒だけを目的に来る店ではなかった」という時代の雰囲気が、TV番組「拝啓 父上様」によく出ています。


古臭い調理場の雰囲気、従業員の控え室、帳場(事務所ではない)。目に見える諸々だけでなく、女将さんと調理長の関係、調理場の上下関係、下っ端見習いと女将さんとの関係、お嬢さんと若い料理人との関係、芸者と女将さんの関係、元芸者と女将さんの関係、旦那(パトロン)と女将さんの関係、本妻さんと女将さん(二号さん)との関係などなど。そうそう、あるある、それだよなぁ、といちいち納得しながらVTRを見ています。あれは昔の料理屋での遊び方を知っている人でなければ描けません。人間関係で言えば、旦那 女将さん 板前 料理人 見習い 芸者 仲居 元芸者 それぞれが自分の分をわきまえて振舞っていたことがよくわかります。私がよく「板前風情」という言い方をしますが、板前はあくまで板前の風情と分をわきまえたところがなくてはならないのです。それって教わるものではなくて、備わるものなのですね。