フランス料理にビール


高級フレンチで「とりあえずビール!」と頼んだことがありますか?


私なんぞ、「高級店にはそこそこ慣れている」なぁぁんて大見得を切っていても、「ソムリエさんに馬鹿にされるに違いない」というためらいがたっぷりあって、たとえ夏の日のカラカラ天気でも怖くて「まずビール!」とは言えません。「きりきりに冷やしたシャンパーニュか若めのサヴィニー・レ・ボーヌかなんかにしましょうか」やっぱりええかっこしいなんですね。


以前にソムリエの田崎真也さんがおっしゃっていました。


フランス料理店でビールをたのんだとき、ソムリエが「当店はフランス料理店ですのでご用意がありません」と怪訝な顔でいうような店であったら二度とそんな店にはいかないことです。たとえ置いていないとしても「申し訳ありません。本日はあいにく在庫を切らしておりまして、変わりに何か別物のものはいかがでしょうか」とお客様に恥をかかせないのがちゃんとした店です。


と。なるほど素晴らしい。そうありたいものです。


今でもビールを置かないフランス料理店は多いそうですが、日本のように気候的にもビールが愛飲される土地柄で「ビールは置かない」と頑なになる時代もそろそろおしまいにしてもいいんではないかな?と思ったりもします。昔のようにフランス料理にワインを根付かせるのに躍起になっていた頃に比べたら、時代はずいぶんと成熟してきたわけですから。かえって日本、特に高級フレンチではワインがスノッブの対象になりすぎているきらいさえあると思うのは私だけでしょうか。たかがお酒なんですからねぇ。