ねぎそばと行列ラーメン


先日のTV番組「チューボーですよ」はねぎそばでありました。


あの番組で選ばれる街の巨匠達のレベルはいつも素晴らしく、今回のお三方も近頃の東京中華事情に疎い私には未知の職人さんたちながら、同様に素晴らしい技術と確固とした料理へのポリシーをお持ちであることが見てわかります。


料理人として一流の方々の仕事は、いつも当たり前のことを当たり前に手を抜かず、細部にまで緻密です。きっと本人はそれらの仕事を美味しくするための当然の作業と思っておられるので、「こだわり」などという雰囲気は感じられません。「これが私の普通です」と淡々と進められるのです。


ねぎそばは中華料理の麺のひとつであって、たくさんのレパートリーの中のごく一部に過ぎないのですから「これみよがし」が一つもないのです。当然そこには秘儀の湯きりとか、Wスープとか、あれもこれもそれも加えているけど○○は教えられないスープとか、○十時間かけて作ったシャーシューとか、○○産の塩に○○産の醤油使用とか・・・・などなどのご披露すべき「こだわり」はなくても、私には充分美味しそうで、職人らしい真っ当な仕事に見えます。


果たしてこれらの尊敬すべき中華の料理人さんたちは、「こだわりの」「行列ができる」ラーメン屋さんの仕事をどんな風に眺めていらっしゃるのでしょうねぇ。


私自身、ラーメンが大好きですし、一生懸命作られたラーメンに敬意を表したいくらいなのですが、メディアと一部の勘違いしてしまったラーメン屋さんとそれを真に受けている食べ手の「グルメごっこ」「こだわり遊び」はかなり痛い感じがします。きちんと修行を重ね、地に足の着いた職人さんのねぎそばを見てそんな風に思いました。