全国展開


料理には長い修行の期間が必要であるといわれます。会席をメインにした日本料理であれば、最低でも10年の修行を経て献立を作り、店を作る能力が備わります。もちろん愚鈍なるわが身を振り返った時の年月ですので、才能のある方は短期間で成功されるでしょう。


一方、大手のチェーン展開する店では、一ヶ月ほどの研修で店長を育成してしまうようなシステムを確立し、安価で使いやすい店作りで人気を博しています。昔でしたら、そんな安直な店が美味しいわけがないと敬遠されたでしょうが、外食産業大手の企業努力はそういうシステムでもそれなりに美味しく大衆に受ける料理を提供できるようになりました。たとえば牛丼、たとえば回転すし、たとえば次々と店舗を増やす居酒屋チェーン。「値段を考えれば充分いける」というお客様の判断が今の成功を生んでいます。


驚いたのはカップ麺です。化学調味料の味しかしなかったカップ麺が、今では超有名ラーメン店のスープの味をかなり近いところまで再現しているのだそうです。行列までして超有名店に出かけたことがありませんので、両者を比較したことはありませんが、聞くところでは相当いけてるらしいのです。なにしろ、「こだわり」に「こだわり」を重ねたであろう自店の味でも、カップ麺に店の名前を載せてもいいと承認するわけですから「こんなもん俺の味じゃぁない」とは言わなかったのでしょう。


超有名洋食屋さんの一皿も大手冷凍メーカーが、店名を冠して冷凍食品で再現しているというのも以前にTV番組で見たことがあります。


実はそれらの料理って冷凍とかインスタントで再現できる程度のものなのか?もしくは大手の食品メーカーの技術力の素晴らしさか?


いずれにしてもそれほどに再現能力があるのならば、行列のできるラーメン店のノウハウをそのまま大手に売りわたしていただき、マニュアル化システム化し、一ヶ月で店長を育成、行列が出来なくていつでも入店できて美味しいラーメンが食べられる店を全国に展開していただけないものでしょうか。牛丼のようにラーメンもそうやって高いレベルを、いつでもどこでもお手軽に食べられるようになるといいな、と思うのです。ラーメンって本来そういう食べ物だと思うのですが。


行列とかこだわりとか秘伝とかが行き着いた反動がそんな風に現れたら面白いかも。


だめ?ちょっと皮肉っぽすぎますか?