アンリ・ジャイエ


ブルゴーニュワインの巨星アンリ・ジャイエさんが亡くなりました。


十数年前、ブルゴーニュワインの魅力の虜になり始めた頃に出会ったのが、メオ・キャムゼの造った「ヴォーヌロマネ レショーム」でした。


コーヒー、黒胡椒、黒いベリーの熟した香り、スムースな喉越しとぼーーっとしてしまうほど長い余韻、「フィネスというのはこれか!」と初めて感じた一本でした。グラスに深く鼻を突っ込んで、このまま時が止まってほしい、と思うほど強烈な印象を残してくれたこのワインが、もともとアンリ・ジャイエさんが丹精こめた葡萄畑から造られ、ニコラ・メオ氏の醸造アドバイスをその当時もしていたと知ったのは、家に帰って調べてからでした。


しかし、ジャイエさんはすでに1988年で引退し、彼のアドバイスでワインを醸造しているのは、甥のエマニュエル・ルジェ、そしてメオ・キャムゼであるということも知ったのです。ジャイエの名前の入ったワインはすでにかなり高値で、料理屋風情がおいそれと買える値段ではありませんでした。もうほんのちょっと早くジャイエさんの神業を知っていれば・・・と嘆いてもしかたありません。せめてルジェとメオのワインを手に入れてみようとしたのでした。


今セラーに寝かせてあるのは1994〜1999年
エマニュエル・ルジェのヴォーヌ・ロマネ、ヴォーヌロマネ クロ・パラントゥー、クロ・ヴジョ


メオ・キャムゼのリッシュブルー、ニュイ・サンジョルジュ、ヴォーヌ・ロマネ、ヴォーヌロマネ クロ・パラントゥー、ヴォーヌロマネ レ・ショーム、クロ・ブジョ


とはいえ、後継者がどうがんばってもやっぱりアンリ・ジャイエを超えることはありません・・・と、力のあるソムリエさんに聞き、亡くなってからさらにアンリ・ジャイエさんへの憧れがつのるのです。


ジャイエさんが残した言葉「われわれはブドウ小作人として生まれ、見習いとして死んでゆく」


彼のワインを飲むことは出来なくても、彼の精神を肝に銘じておきましょう。