リアルタイム


お話上手なお客様というのが何人かいらっしゃいます。そういう方の手にかかるとついお部屋に長居をしてしまいます。こういう方は基本的に聞き上手でいらしゃいますので、しゃべりたがりの私など気づくと自分ばかりしゃべっていて恥ずかしくなります。


昨日のお得意様はその最たる者。カップルのお二人ともが話し上手聞き上手の上、映画の話なんぞをふってくださるものですから身を乗り出しておしゃべりをしていました。


指摘をしていただいて気づいたのは、音楽でも映画でもリアルタイムで見ていること、その時代に身をおいて体験していることの面白さでした。件のお得意様のお話で知ったのは、ルーカス「スター・ウオーズ 帝国の逆襲」のラスト、ダースベーダーがルークの実父であることを明かす衝撃のシーンは、厳重な緘口令がひかれ、マーク・ハミル自身も本番直前まで別の脚本を渡されていたのだそうです。映画館で初めてその驚きを体験するのと、すでにストーリーの概略を知ってから映画を見るのではその醍醐味は全く違います。


そのちょっと前、スピオルバーグ「未知との遭遇」でも同じように厳重な緘口令がひかれ、予告でも第一種接近遭遇〜第三種接近遭遇の意味深な説明がなされるだけでしたので、映画館で実際に見たときの驚愕は半端ではなかったのでした。まさにリアルタイムで真っ先に見たものだけの映画の醍醐味です。


「後追いで見ている私にはそれがないんですよね」というお言葉に、「歳をとるのも悪くないな」などと悦にいる年寄りなのでありました。


そういえば映画でのそういう驚きってナイト・シャマランシックス・センス」以来ないかも?