「熱血!日本酒バカ」


本のまえがきから激しくうなずいたのであります。


曰く、


天保○年創業?だったら旨いの?」「○○の水で仕込み? 言っちゃあ悪いが、今の水の濾過技術はスゴクなりましたんで、それが旨い酒造りの絶対条件とは思えん」「五百万石、山田錦を○○%削った酒造り? あんたなぁ、山田錦と五百万石と美山錦の違いを一口飲んだだけで言えるの?」「”○○蔵の酒は・・・」っちゅうガイドはまちがいっ。1つの蔵で4〜15くらいの酒を出しており、当然その質も違う。それを単に「○○酒造は芳醇な・・・」みたいに表現しちゃイカン。お酒選びは「ピンポイント」です。


まさにその通り!


本屋で日本酒の本がでていれば必ずペラペラとめくってみるのですが、いわるゆガイドブック、お奨めの日本酒を全国北から南まで並べている本で見るべきものに出会ったことがありません。ところがこの魚柄仁之助さんの「熱血!日本酒バカ」はまえがきの姿勢からして違います。


中身はというとまさに「ピンポイント」 どんないい蔵でも蔵の紹介ではなくて、”○○酒造の「純米吟醸無濾過生原酒活性」は旨い”という取り上げ方をしていて、間違いなく魚柄さんご本人が飲んでみて「おお、これ!旨いなぁ!」と感嘆の声をあげたであろうと想像できる酒だけが並んでいます。確かに私から見ても「うんうん、そうそう、この蔵ならこれだよねぇ」と思えるのです。しかも入手方法(ほとんどが蔵に問い合わせですが)まで記してあります。ざっと見ると、蔵に電話してもケンモホロロという類の超稀少酒は紹介していませんし、一部の焼酎のように販売店さえ教えてくれないような蔵は掲載されてはいません。


正しく美味しくて、正しく手に入る真っ当な日本酒が居並んでいるのです。


こういう情熱で書かれた本は好感が持てます。お奨めです。