ブラインド・テイスティング


ソムリエのお得意様がお持ちになった赤ワインを、お連れの方々とお座興にブラインド・テイスティングしました。


力のあるソムリエさんが「親方のところへ持っていってもあまり恥ずかしくない持込ワインでないと」とおしゃったそのワインはすでに二時間前にデキャンタ済。お連れの方々は名うてのワイナー(ワイン・ラバー)ばかりでこれまで飲まれた数も質も素人の域ではないお歴々です。


デキャンタのエッジの色合いを拝見すると、深いガーネット色に見えます。ピノ・ノワールではない?・・・とおもったのですが、グラスに注ぐと明らかにいい熟成感のある色合いのピノ!絶対ピノです。全員一致でのピノ・ノワールと断定しました。



ヴィンテージと地域は?


味わいは驚くほどリッチで余韻も長く、バランスが素晴らしくいいワインです。どう考えてもプリュミエ・クリュもしくはグランクリュクラス、私にはブルゴーニュ北部の酸があまり感じられません。かといって南の熟したボリューム感とも違う。モレ・サン・ドゥニ〜ニュイ・サンジョルジュの間くらい、ヴォーヌ・ロマネのかなりいい畑くらいに感じられます。


ヴィンテージも貧弱ではありません。1995,1996のプリュミエクリュクラス以上でしたら、二時間前のデキャンタでもこれほどまとまりのいい熟成感はでてきません。1992エレガントでもない、1991、1993、1994もなし、とすると1990か1989年辺り。リッシュブル?いえ、リッシュブルの濃縮感まではないか??

というわけで、ドメーニュまではとても特定できませんので、1990年のヴォーヌ・ロマネ プリュミエクリュ以上と想定しました。



で、
正解は、コント・ラフォンのヴォルネイ サントノ・デュミリュー 1988


全くハズレ。当たっていたのはブルゴーニュワインであったことと、1990年以前であったことだけ。とはいえ、普通で考えれば、ヴォルネイの土臭い素朴な味わいでは全くないですし、二時間前にデキャンタした1988年のワインでも全くありません。コント・ラフォンだからなしえる偉大なヴォルネイなのです。


ドミニク・ラフォン氏の力量の凄さに感嘆し、ブラインド・テイスティングの難しさをというか、ワイン経験の少なさを改めて実感したわけなのですが、ワイン好きが集まってああでもないこうでもないと賑やかに推理しあう楽しさは満喫することが出来ました。


しかし、いいワインでした。こんなワインをブラインド・テイスティングさせようというソムリエさんの力にも脱帽。