日本料理屋の意地

clementia2005-06-30

一昨日お話したように、この時期のシンコはどれほど高価でも一部のお寿司屋さんは意地でも入手するのだそうですが、我々日本料理店ではもうちょっと待ってお手ごろになってから使います。


とはいっても、個人的には意地でも私が使いたいと密かに思う魚がないわけではありません。今日手に入った「一味鯛」などはそれです。(全国的には「メイチダイ」)この大きさ以上のものは一年でも10枚あるかどうかというほど稀少で、ともかく美味しい白身なのです。当然のように高価です。


一般的な鯛ですと、1kgを下回るものはお造りではあまり使いたいとは思いませんが、一味鯛は1kg以下でも身が上質な上に、モッチリとした食感と脂の乗り具合、旨みが素晴らしい魚です。もちろんこの大きさになれば言う事はありません。


魚屋さんでも「私用」(わたくしよう)として先に取って置いてくれます。そういう心遣いがあってこそ使っていける魚なのですね。