計れ!

板前の世界では料理は盗むもの、洗いに出された鍋の底に残った汁をこっそりなめ、味を覚えるもの、味は計るものではない目分量で覚えろ・・・・などなどなど。


なんてファジーで感覚の世界、厳しいものです。素敵です。


が、
こんなことをしていたら若い者は育ちません。ただでさえ若者が居つきにくいこの世界で、「盗め」などと言って若者の意欲を待っていられるほどの優雅な名店は極少数です。


目分量なんてとんでもない。早くコツを覚えてもらうには、きっちり計量した分量を書いて覚えさせなければ味は安定しません。計量から先に、季節による素材の変化や気温湿度などによる味付けの微妙な変化があるのです。


ご家庭でも計ってみてください。


たとえばお漬物。白菜も夏場の浅漬けも塩は野菜全体量の3.5%と決まっています(店による差はもちろんあります)ぬか漬けのぬか床は煎りぬか1kgに水(沸かしたもの)1200cc塩100gと決まっています。


出汁には水1800ccに昆布40g鰹節60gと決まっています。それで不味ければ素材が悪いか、タイミングが悪いのです。


パスタを茹でるのには水1リットルに塩10gと決まっています。ペペロンチーニだって怖くはありません。


適当にやらずにまずキッチリ計ることです。大きな間違いはありません。微調整ができるようになれば大したものです。さあ、まず計りましょう。