ちゃんと腐る

味噌を変えました。


お座敷で使っている味噌は以前に上質な八丁味噌にしていたのですが、普通にランチや仕出しで使う味噌も同じメーカーのものにしました。


これが、この暑くなり始める時期に常温の場所に置いておくとちゃんとカビが生えてくるのです。即カビを取り除いて冷蔵庫へ入れました。それまで使っていた八丁味噌は日本中の料理店が当たり前のように普通に使う有名銘柄味噌で、食材屋にはそれしかないから深く考えることもなく使われるものでした。その味噌にはカビが生えません。真夏の常温でも大丈夫。


というか、カビが生えないというのは本当は大丈夫ではなかったのかもしれません。



定期的に季節のものを送っていただいている京都の漬物屋さんの漬物も、今の時期の青瓜など早く使わないと色落ちして味が落ちてしまいますし、「真空パックで腐らない」という品物がなく、賞味期限が短いものばかりです。ちゃんと腐るのです。それに比べると京都物産展とかお土産物屋さんに並ぶ漬物、マーケットに置いてある漬物が腐るのをみたことがありません。



味噌も漬物も保存食なのだから腐らないカビない・・・・のではなくて、大量生産、大量消費される大手の味噌、漬物は腐らないようなもの添加してあるのだということに改めて気づきます。



以前に、コンビニのおにぎりが棚の上に一週間忘れられていたのに、カビ一つなかったことに恐怖したというお話を書いたことがありますが、同様の思いが保存食にもあります。


昔の私たちの生活では漬物や味噌といった保存食も床下などの冷暗所に置き、マメに手入れをするものであったのですが、便利さは食品を腐りにくいものに変え、それがいつのまにか当たり前になってしまっていることが怖いことです。



添加物がないから美味しいとか、無農薬だから不味いはずはないというイメージだけの短絡的な考え方はしたくはありませんが、自然に造られたものはちゃんと腐っていくという真っ当な考え方で作られた品物には安心感があります。もちろんまず美味しいから使うのですが。