シャンパン話余話

日本酒の場合、灘伏見など「大手のお酒=悪い酒」、「小規模の蔵=まじめでいい酒」の印象がまかり通っています。個人的には月桂冠の出品古酒など度肝を抜かれるような素晴らしいお酒に出会った経験があるだけに、すべてのお酒について「大手=悪酒」とは全く思っていません。大手の持つ資金力と技術の蓄積はこれまでも日本酒にいい影響を与えてきましたし、これからにもまだ期待を捨てているわけではありません。


先日お話したシャンパンでも、大規模生産者ネゴシアン・マニュピュランと小規模自家畑生産者レコルタン・マニュピュランがあって、レコルタン・マニュピュランは注目であるといいました。ところが実際にはシャンパンについてはレコルタン・マニュピュランだから素晴らしい・・・とは全くいえません。中には有名でも味的には「?」と首をかしげるようなものも数多く出回っていますし、値段的にも出始めのようにお手ごろでめっけモンが多いとは言い切れなくなってきています。一方ネゴシアン・マニュピュランの造るシャンパンはやっぱり安定して押しなべて水準が高く、伊達に大手ではないというのがシャンパン業界なのです。日本酒の大手V.S.小規模の図式は画一的には当てはまらないのです。



休日の夕食に試飲しようと「ギイ・ラルマンディエ グランクリュ ブラン・ド・ブラン」を開けてみました。注目のレコルタン・マニュピュランの一つです。泡のきめも細かく、ブラン・ド・ブランの切れ味とそれなりのコクがあってそれなりにいいシャンパンでありました。が、夫婦でグラス一杯分が残ってしまう・・・程度の味・・・・であったのです。


が、昨夜「ちょっと残っちゃってるから飲んじゃって」と連れ合いに言われ、余ったシャンパンを飲んでみました。「いいシャンパンは翌朝でも泡がしっかり残っている」とは言うものの、二日経ってしまっていては無理、「飲めるかなぁ。。。」と恐る恐る口をつけると、これが「美味い!」 ちょっと熟成させた上質なシャルドネにほんの少しの心地いい微発泡が残っている感じです。下手をすると開けたてよりも美味しい。ブラン・ド・ブランですからシャルドネ100%は当然なのですが、グランクリュクラスのシャブリに負けないようなコクがあります。


これだからワインは止められません。お客様に「抜栓後二日たったシャンパンです」とお出しするわけにはいきませんが、個人の楽しみでは半分飲んで半分は二日後、っていうのもアリです。深いなぁ、シャンパン。