シャンパン話その3

ドン・ペリニオンのラベルをよく見ると「19○○」と造られた年が書いてあります。ドン・ペリのお値段が高いのはこの「19○○」のため。こういう風に単一の年の葡萄だけで造られたシャンパンをヴィテージ・シャンパンと呼んぶのですが、シャンパン全体の数パーセントしかありません。つまり多くのシャンパンは単一の年で造られたのではないノン・ヴィンテージ・シャンパンで、複数年のワインをブレンドして造られているのですね。


一般的に流通するワインのほとんどは、単一の年で造られ、各年をヴィンテージと呼んで出来の違いを味わうのもワインの楽しみの大きな要素になっています。ところが前にも書いたようにシャンパーニュ地方というのは寒冷で厳しい土地柄、雹(ひょう)なんかもよく降るほどで、毎年安定的に葡萄を造ることができません。そこで、出来のいい年悪い年のワインをブレンドすることで味を一定にすることが昔から行われてきました。シャンパンの生産量の70数パーセントが大手メーカーのものであることも、皆で集まって大きく生産することで厳しい環境に立ち向かおうとするシャンパーニュ地方の知恵でもあったのです。


近頃では小規模、少量生産、各ヴィンテージの微妙な違いの楽しみに重きがおかれるようになってきていますが、ことシャンパンに関しては別の道で成功を収めてきました。(注目の小規模生産者のお話はまた次に)シャンパンにおいては通好みはノン・ヴィンテージ。ノン・ヴィンのブレンドの妙こそシャンパンの醍醐味・・・・なのだそうですが、6−7年前にやっとヴィンテージ・シャンパンに目覚めた私なんぞまだまだです。



ところでドンペリ、バブルの時代には高級の代名詞のように使われ、未だに高級クラブなどではドンペリ・ロゼをポンポン開けることが大盤振る舞いの象徴のように言われて、ワイン通にとっては「いまさらドンペリィ?」みたいに敬遠されがちです。美しく着飾ったおねーさま方の前でドンペリを薦められたら、「ドンペリ?ドン・ペリニオンならレゼルヴ・ド・ラベイってのがあってね。1985は美味かったなぁ」なんて、ロゼなんてまだまだ・・・というほど超限定の古酒ドンペリのお話なんてスノッブにしてみて煙に巻くというのはどうでしょう。でもねぇ、ホントに高級な銀座のクラブにはレゼルヴ・ド・ラベイも数十万円でおいてあるのだそうですから「1973年がございますが、いかがですか?(1973が初リリースです)」さらに言われて慌てないような店でなくてはいけません。