こんなお椀

昨年は農家谷野さんのちりめんキャベツでズワイ蟹を包み込んだ煮物を作ったのですが、今年は同じちりめんキャベツで海老、つぶ貝、レンコン、シメジなどを包んでみました。ただ包み込むだけでは箸を入れたときにばらばらになってしまうだけですので、生湯葉をすりつぶしたものをつなぎに遣います。さらに煮物としてではなくて煮物椀になるように汁はずわい蟹のすり流しにします。茹で上げた蟹の身をせせりだして、すり鉢で擦り、一番だしでのばしていきます。火を入れながら本葛でとろみをつけるとすり流しの出来上がりです。蟹のお汁の真中にちりめんキャベツの袱紗包み(ロールキャベツなんですが)たっぷりしたお椀になります。


で、
二三日前から真鱈の白子(雲子)がいい感じで市場に出始めました。蟹のすり流しに白子もいいかもしれない・・・・ということで、ちりめんキャベツから白子に変更です。白子をそのまま軽く焚いていれてもいいのですが、それでは芸がありません。葉っぱの大きな京都産の菊菜で白子を包み、さっと焚いてすり流しの真中に置きます。ただ置くだけではすり流しの中に沈んでしまいますので、豊岡村新貝さんの海老芋を淡く焚いて台のように下に引き、菊菜で包んだ白子を置くのです。薄桃色の蟹のお汁に緑の菊菜、箸を入れるととろとろの白子。


素材がいいからといってそのものに頼ってシンプルすぎず、仕事をしたことに満足をしてこねくり回しすぎず・・・・お椀を考えるときの大事な要素なのですが、そうなっているだろうか?