座る

店を新築した8年前、客席を掘りごたつ形式にしようか、今までような普通に座るお座敷にしようかと少々迷いました。


結局建築構造上の問題と、時流に流される必要はないという偏屈な考えの下、掘りごたつ形式は止めたのでした。


が、
この1-2年のお客様の傾向の変化はどうしたことでしょう。肌で感じる変化はまったくこの1-2年です。それまで、外国のお客様がいるから、というくらいの理由で掘りごたつ形式の足が延ばせるテーブルのご希望であったのに、多くのお客様のご希望に「足が延ばせる」というのが劇的に増えてきました。


さらに高齢の方で足の悪い方もとても増えてきました。法事のお席などでは、必ず足の不自由な方がいます。歩けないのではないけれど、正座ができない、胡坐がかけない。出歩く機会がなかった方が出かけるようになっただけなのか、それとも高齢化が進んで身体は丈夫でも足は悪いという方が増えたのか?ともかく感覚的には5年前とは違います。昔、畳だけの生活だったときは、足が痛くて正座できないというご老人がたくさんいたという記憶はありません。


若い方々も自宅で畳に座るという生活が皆無になりつつあります。ライフスタイルの変化は今に始まったことではありません。かくいう私の自宅にも畳の部屋は一つだけです。


改築のための費用を考えたら頭がくらくらしそうだし、どうしたもんでしょう。数年後、私ン処のお座敷なんぞは「遺跡」になってしまうのか?