自慢話

「私が一番」と胸を張れる分野は一つもありません。


本業の日本料理では綺羅星のような店が日本中にいくらでもあり、フレンチ、イタリアン、中華それぞれの分野で優れたシェフがこのサイトをご覧になっているのを知っているだけに、知ったかぶりをしたら恥をかくこと必死です。


食べることについても、私には未知の名店をたくさんご存知のお客様がいくらでもいます。


日本酒では高い見識を持つ酒屋さんがいて、玄人顔負けの膨大な知識をもつお客様も何人もいらっしゃいます。


ワインではソムリエさんにはどうひっくり返っても敵わないですし、クラクラするようなコレクションを自宅に持つお客様も何人かいます。


音楽でも各分野にひれ伏してしまうほどの素晴らしい耳を持った聞き手とプレーヤーがこのサイトをご覧になっています。


考えてみるとどの分野でも板前風情の自慢話など鼻で笑われてしまいそうな方々がいて、サイトを通じてお付き合いをさせています。ちょっとした薀蓄話をすると、間違いを訂正してくれたり、新たな知識をmailで教えてくださったことは数限りなくあってそのたびに冷や汗をかきます。


先日、ある雑誌を読んでいると男性ファッションのことをある料理屋のご主人が語っていらっしゃいました。知識としては少しは知っていても、私などとても買えそうもない高価な品物のお話です。


憧れてはいても買えない貧乏な板前と、コレクションを語る料亭のご主人。


私など小銭がたまって一つでもそんな高価なものを手に入れてしまうと、すぐ自慢話をしてしまうのだろうなぁ・・・・と自分を今のうちから戒めておかなくてはいけません。(買えないけど)


好きなモノを語るとき、薀蓄話になるか、自慢話になるか、熱い思いだけを素直に伝えられるか、受け手がどのように感じるかは微妙なお話です。そんなことを考えると日記の過去ログなど恥ずかしくて読み返せません。